パーントゥ:宮古島の神秘的な厄払いの伝統
宮古島の青い海と白い砂浜に囲まれた、美しい自然の中で行われる「パーントゥ」は、ただの祭りではありません。
これは、沖縄県宮古島市の宮古島で行われる、古くから伝わる厄払いの伝統行事です。
仮面をつけた来訪神「パーントゥ」が集落を回り、厄を払うこの行事は、平良島尻と上野野原の2地区で異なる形で行われています。
語源と歴史
「パーントゥ」という名前は、お化けや鬼神を意味する言葉で、「パーン(食む)+ピトゥ(人)」が訛化したものとされています。
この行事は、数百年前に島尻地区のクバマ海岸に漂着した黒と赤の仮面が起源とされ、村民がこれを来訪神として崇敬し始めたことから始まりました。
厄払いの儀式
パーントゥは、親(ウヤ)パーントゥ、中(ナカ)パーントゥ、子(フファ)パーントゥの3体の来訪神で構成され、選ばれた青年が扮します。
彼らは「ンマリガー」と呼ばれる井戸の泥を全身に塗り、集落を回って厄払いを行います。
この泥は強烈な臭気を放ち、塗られたら数日はその臭いが取れないと言われています。
また、新築の家や事務所には厄払いとして必ず訪れるという習わしがあります。
無形文化遺産への登録
1982年に「宮古のパーントゥ」として選択無形民俗文化財に選択され、1993年には「宮古島のパーントゥ」として重要無形民俗文化財に指定されました。
さらに、2018年にはユネスコの無形文化遺産に登録されるという栄誉を受けています。
現代における課題
しかし、興味本位でこの行事に参加する観光客による苦情が問題となっており、開催中止が検討されたこともあります。
最近では、泥を塗りつけられたことに激怒した観光客がパーントゥを暴行する事件も発生しています。
現在は、日程の掲載を控えるなどして観光客の大挙を防ぐ対策が取られています。
このように、パーントゥは宮古島の文化と歴史を色濃く反映した、非常にユニークで意義深い行事です。
その神秘的な魅力と共に、現代社会における文化の継承と保護の重要性を私たちに教えてくれます。