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富士の麓で燃える情熱 - 山梨県吉田の火祭り



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山梨県富士吉田市で毎年8月26日と27日に行われる「吉田の火祭り」は、日本三奇祭の一つとして知られています。

この祭りは、北口本宮冨士浅間神社諏訪神社例大祭として、夏山の富士山登拝の終わりを告げる伝統的な行事です。

祭りの起源は、木花開耶姫命コノハナサクヤヒメ)の故事に由来し、古くは旧暦7月21日に行われていましたが、明治期に新暦8月21日から22日に改められ、その後大正初期に現在の日程になりました。

火祭りの見どころは、高さ約3メートルの大松明が70本から80本余り燃やされる光景です。

夕暮れ時に点火されると、富士山の山小屋でも一斉に松明が焚かれ、町全体が火の海と化します。

この壮大な光景は、訪れる人々に深い印象を与えます。

祭りの背景には、富士講御師といった富士山への民間信仰や、富士五湖地域の風俗習慣、神仏習合の姿が見られるなど、民俗学的要素も多分に含まれています。

2000年には、国によって記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財として選択され、2012年には山梨県内では3件目となる国の重要無形民俗文化財に指定されました。

祭りは2日間にわたり行われ、26日の鎮火祭が一般に「吉田の火祭り」と呼ばれる宵宮であり、本祭は翌27日の「すすき祭り」です。

雨天や台風であっても延期や中止にはならず、必ず8月26日・27日の両日に催行されます。

これまでに松明の火を火元とする延焼などの火災は一度も起きていないというのも、この祭りの特徴の一つです。

吉田の火祭りは、ただの祭りではなく、富士山とその周辺の人々の生活、信仰、文化が織りなす、日本の伝統と歴史を感じさせる貴重なイベントです。

この祭りを通じて、日本の豊かな自然と文化の調和を体験することができるでしょう。